BLOG ブログ

HOME // ブログ // 廃業・事業縮小を考え始めたときに、まず知っておいていただきたい税務の話

CATEGORY


ブログ 経営

廃業・事業縮小を考え始めたときに、まず知っておいていただきたい税務の話

こんにちは。

内山公認会計士事務所の内山でございます。

今月も顧問先様をはじめとしたお客様へ向けて税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説していきたいと思います。

 

2026年がスタートして早々こんな話はしたくないですが、コロナ禍以降「廃業」や「事業縮小」に関するご相談を受けることが多くなってきました。

理由は様々なものがありますが一般的に廃業と聞くと、

  • 業績が悪化してやむを得ず

  • 借入の返済が難しくなって


といった状況を想像される方も多いかもしれません。

 

しかし実務の現場で多い相談は、

  • 売上・利益はまだ出ている

  • 会社としては回っている

  • ただ、この先を考えると続けるか迷っている


このように、比較的落ち着いた状態のうちに、あえて事業の終わり方を考え始める経営者の方が増えている印象です。

 

こうした判断自体は、決して後ろ向きなものではありません。
むしろ、元気なうちに考えるからこそ選択肢が残る、という面もあります。

 

そこで2026年最初のコラムでは「廃業・事業縮小を考え始めたときに、まず知っておいていただきたい税務の話」として、“戦略的撤退”を行う際の注意点について解説させていただきます。

目次

「もうやめるから大丈夫」は税務では通用しません

廃業を検討されている方から、よくこんな言葉を耳にします。
「もう事業をやめる予定なので、細かい税務はあまり関係ないですよね?」
お気持ちはよく分かりますが、税務の世界では残念ながらこの考え方は通用しません。

むしろ廃業や縮小のタイミングでは、
• 在庫
• 固定資産
• 売掛金
• 役員や関係者との金銭関係
といったものが一気に表に出てきます。

整理の仕方を誤ると、
• 実態以上に利益が出たように見える
• 本来払わなくてよい税金を支払う
• 後から税務署から指摘を受ける
といった結果になりかねません。

在庫の評価は慎重に

税務上注意すべき点を一つずつ解説して行きます。
まず問題になりやすいのが在庫の扱いです。
売れ残っている在庫について、
• 今後売る予定がない
• 処分するつもり
という場合でも、税務上は「なぜ評価を下げられるのか」という客観的な根拠が求められます。

単に
「売れそうにない」
「もう使わない」
という理由だけでは、評価損として認められないケースもあります。

処分予定があるのであれば、
• 実際に処分した事実
• 処分予定を示す記録
などを残しておくことが重要です。

固定資産は眠っている経費ではありません

機械や車両、備品などの固定資産についても注意が必要です。
「もう使っていないから除却できる」と思われがちですが、
• 実際に廃棄したのか
• 売却したのか
• 個人で引き続き使うのか
によって、税務上の扱いは大きく異なります。

特に、個人使用へ切り替える場合には、時価で譲渡したものとして課税関係が生じることもありますので、事前の確認が欠かせません。

売掛金や貸付金は損金に出来ない?

廃業時には、
• 回収できていない売掛金
• 役員や関係者への貸付金
が残っていることも少なくありません。

「回収できないから損金にしたい」と考えても、税務上は一定の要件を満たさなければ貸倒損失として認められません。
ここを安易に処理してしまうと、後の税務調査で指摘を受けやすい項目になります。

退職金を検討する場合の注意点

廃業や事業縮小の場面では、役員や従業員への退職金を検討されるケースも多いでしょう。
退職金は、条件を満たせば税務上有利な制度ですが金額の妥当性が何より重要です。

特に役員退職金については、
• 在任期間
• 功績
• 同業他社との水準
などを踏まえずに高額に設定してしまうと、
• 損金として認められない
• 役員賞与として扱われる
といったリスクが生じます。
「最後だから」という理由だけで決めてしまうのは避けたいところです。

社長を含む役員の退職金は、
功績倍率法上の役員退職金額=退任時の報酬月額×役員在任年数×功績倍率
という式で一般的には算出します。ご不安な方は当事務所までご相談ください。

生命保険は“確認しておく”程度で十分です

法人で加入している生命保険がある方は契約内容についても確認すると良いでしょう。
廃業や代表者の退任を考える段階では、
• どのような保険に入っているのか
• 解約返戻金があるのか
を一度確認しておくことは無駄にはなりません。

解約返戻金のある保険であれば、退職金の原資や、廃業時の資金として使える可能性もあります。
ただし、
• 解約時の益金処理
• 退職金とのバランス
など、税務上の注意点も多いため、
「使えるかもしれない資産として把握する」程度に留め、慎重に判断することが大切です。

個人事業主の方も最後の申告が重要です

個人事業主の方の場合、廃業届を提出すれば終わりと思われがちですが、最後の確定申告が非常に重要になります。
• 在庫の最終処理
• 事業用資産の扱い
• 消費税の課税関係
これらを正しく整理しないと、「廃業したのに思ったより税金が多い」という結果になることもあります。

今回のまとめ

廃業や事業縮小は、経営者にとって大きな決断であり人生の節目でもあります。
だからこそ、
• 思いついた勢いで進める
• 「もう終わるから大丈夫」と考える
のではなく、税務・会計の視点で一度立ち止まって整理することが重要です。

実務上の感覚としては、検討を始めてから実行までにある程度の時間的余裕がある方ほど、結果的な負担は軽くなる傾向にあります。

「まだ先の話」と感じている段階でも構いません。
気になる点があれば、早めに当事務所へご相談ください。
今回の記事が、今後の判断を考える一つの材料になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

SHARE
シェアする
[addtoany]

ブログ一覧