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中小企業の後継者問題~親族外が継ぐケース~

こんにちは。

内山公認会計士事務所の内山でございます。

今月も顧問先様をはじめとしたお客様へ向けて税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説していきたいと思います。

 

前回の続きとして今月も「中小企業の後継者問題」を取り上げて行きますが、今回は親族外が継ぐ場合の注意点について深掘りして行きます。

一見すると親族外の人間は自分との血縁関係がない分、ビジネスライクに事業承継が進むように思えますが実際は親族が継ぐ時と同様、むしろそれ以上に注意する点が存在します。

 

M&Aや社員から経営者への昇格などを考えている方は参考になると思いますのでぜひ最後までお付き合いください。

目次

親族外が継ぐ際の注意点

親族以外が後継者となる場合、社内の幹部社員がそのまま経営を引き継ぐケースと、外部から経営者を招くケースの大きく2つに分けられます。どちらにしても、経営者としての資質や信頼関係が鍵となりますが、それ以外にも押さえておきたいポイントがいくつかあります。

社員が経営者となる場合

まず社内の社員が継ぐ場合ですが、長年勤めた信頼できる人物であっても、「経営者としての覚悟や視点」を持っているかどうかを見極める必要があります。現場や管理職の経験が豊富でも、最終意思決定者としての責任を負うことはまったく別の能力を求められます。必要に応じて、外部の経営塾や研修などで視野を広げさせることも一つの手です。

また、親族でないという点から、株式や資産の承継方法に細心の注意が必要です。親族であれば遺産分割の中である程度調整できますが、他人に株式を譲渡する場合、税務上の贈与や売買の形を取る必要があります。株式の価格が高いと多額の費用がかかるため、あらかじめ計画的に対策を講じることが欠かせません。

対策手段としては自社株を取得するか従業員持ち株会を作るという方法がございます。ただし、新社長一人に株式を集中させる方法ではありませんので、どうしても新社長が株式を100%取得したいと考えている場合は譲渡という形式を選ばざるを得ません。


さらに、社員が継ぐことで社内の雰囲気が変わることもあります。たとえば古株社員との力関係が変化したり、「あの人が社長になるのは納得できない」という感情的な反発が起きることもあります。こうした混乱を避けるためには、経営交代の意図や選定理由を社内外にきちんと説明し、段階的に信頼を築いていくプロセスが重要です。

外部から迎える場合

一方、外部から後継者を迎える場合は、さらに注意が必要です。経営の知見があっても、社内の文化や従業員の特性を理解するまでに時間がかかります。また、社員から見れば「突然外から来た社長」という目で見られ、なかなか受け入れてもらえない場合もあります。そのため、できれば前任の経営者が一定期間アドバイザーや相談役として残り、新社長を支援する体制を整えることが望ましいです。

さらに、外部の後継者に経営を任せる際は、契約書の整備も重要です。株式会社の場合であれば自社株をどうするのか? という点は慎重に検討すべき事柄と言えるでしょう。他にも、経営権の移転時期や報酬体系、万が一の経営不振時の対応など、事前に取り決めておくことで後々のトラブルを回避できます。また、社外取締役や監査役を活用して、第三者の視点を取り入れる体制を整えることも有効です。

M&A(第三者承継)を活用する場合の詳細と注意点

親族外の承継方法の一つとして、近年注目されているのが「M&A(企業の合併・買収)」による事業承継です。特に後継者が社内外に見つからない場合や、経営を第三者に託したい場合、有力な選択肢となります。

M&Aの大きなメリットは、「自社の価値を資金化できる点」と「経営を任せられる信頼できる企業や個人に譲れる点」にあります。買い手側にとっては、既存の取引先・従業員・設備・ノウハウを一括で得られるメリットがあるため、条件がマッチすればスムーズな承継が可能です。

一方で、M&Aは専門的な手続きが多く、税務・法務・人事・労務など多方面の調整が必要です。また、譲渡価格の算定方法や支払い条件、買い手企業との文化的な相性など、感情面も含めて総合的な検討が求められます。

買い手が外資系企業や大手資本の場合、経営方針や社内制度が一気に変わる可能性もあるため、従業員の不安や退職リスクも事前に考慮すべきです。可能であれば、M&A仲介会社や税理士、弁護士などの専門家を早期に巻き込み、丁寧な準備と情報開示を行うことが成功の鍵となります。

ここまで読んでこられた方の中には「M&Aと聞くと大企業の話で中小は関係ないでしょ?」と思われるかもしれません。しかし、現代ではマイクロM&Aなどとも呼ばれる、個人事業主の事業譲渡もスタートしています。それだけ後継者不足が深刻だということでしょう。

また、広く後継者や事業の譲渡先を探すことと同時に、取引先、同業他社の経営者など、自社に縁のある信頼できる人へ経営を引き継ぐ方法も考えられます。知人であるため柔軟に話が進めやすく、買収金額も抑えられる場合があります。ただし、契約や責任分担をあいまいにするとトラブルのもとになるため、こちらも専門家の支援を受けたうえで進めるべきです。

今回のまとめ

親族外の後継者への承継は、第三者的な視点や経営の専門性を取り入れるチャンスでもありますが、その一方で社内外の理解や税務上の準備など、越えなければならないハードルも多くあります。M&Aを活用する場合も、慎重な相手選びと専門家のサポートが不可欠です。

重要なのは、後継者の選定と並行して、経営権・株式・社員への説明など多方面の準備を丁寧に行うことです。また、会社の理念や文化が承継後も維持されるよう、引継ぎ期間中にしっかりとしたコミュニケーションの場を設けることも欠かせません。

中小企業の未来を託すためにも、感情や慣例に流されず、客観的かつ計画的な承継を心がけましょう。当事務所では事業承継に関わるご相談もお受けしておりますので、お気軽にご連絡ください。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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