カスハラとクレームの線引きは?
内山公認会計士事務所の内山でございます。
今月も顧問先様をはじめとしたお客様へ向けて税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説していきたいと思います。
10月4日のことになりますが東京都議会でお客様から理不尽な要求を受ける「カスタマーハラスメント」(カスハラ)を防止する全国初の条例案が可決されました。
カスハラは近年問題になっていることですが、クレームとの線引きが難しく、どこまでがクレームでどこからがカスハラか? という点は人によって意見が分かれるところです。
そこで今回のコラムでは『カスハラとクレームの線引きは?』と題し、それぞれの違いと対策について解説していきます。
従業員と経営者の心身を守るために知っておいて損のない知識ですので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
- ○ カスハラとクレームの違いは?
- ○ カスハラへの具体的な対策は?
- ・カスハラポリシーの策定と従業員教育
- ・クレームとカスハラの区別を明確にする
- ・マネジメントによるサポート体制の構築
- ○ クレームを業務に生かすためにできることは?
- ・クレームの可視化とデータ分析・顧客へのフィードバック
- ・クレーム対応のプロセスを標準化
- ○ 今回のまとめ
カスハラとクレームの違いは?

カスハラとクレームは、一見すると似ているようにも見えますが、その性質や対応の方法はまったく異なります。
まず、クレームとは顧客が製品やサービスに対する不満や要望を表明する行為です。これは改善の機会であり、企業にとって貴重なフィードバックとなり得ます。クレームを適切に処理することで、顧客満足度を向上させ、将来的なトラブルを未然に防ぐことが可能です。
また、クレームがきっかけとなり新たな商品やサービスが誕生するということも考えられます。
一方で、カスハラは顧客が従業員や企業に対して理不尽な要求や暴言、威圧的な態度を取る行為を指します。これは、顧客の正当な要求を超えた嫌がらせであり、従業員の精神的・肉体的な負担を引き起こし、企業の業務に悪影響を与える場合があります。カスハラは法律的にも問題となる場合があり、企業はこのような行為に対して適切な対策を講じる必要があります。
以下にそれぞれの特徴についてまとめました。
カスハラの特徴
・理不尽な要求や暴言
・長時間の執拗な電話や訪問
・従業員を脅す行為
・法外な賠償や謝罪を求める
クレームの特徴
・製品やサービスに関する具体的な不満
・顧客の要望や改善提案
・企業に対するフィードバック
・法的な枠組みの中での対応を期待
カスハラへの具体的な対策は?

カスハラは従業員のストレスや離職の原因となり、企業の生産性やブランドイメージにも悪影響を与えるため早急に対応することが重要です。ここでは、カスハラへの具体的な対策をいくつか紹介します。
カスハラポリシーの策定と従業員教育
まず、会社としてカスハラに対する明確なポリシーを策定する必要があります。従業員がどのような行為をカスハラと認識し、どのように対処すべきかを明示することが重要です。また、従業員に対する定期的な教育やトレーニングを実施し、適切な対応スキルを身につけさせることも必要です。
クレームとカスハラの区別を明確にする
従業員がクレームとカスハラを区別できるようにすることは、適切な対応を行うために不可欠です。クレームに対しては丁寧かつ迅速に対応する一方で、カスハラには毅然とした態度で対応する姿勢を徹底させましょう。この区別が明確になることで、従業員の負担を軽減し、トラブルの早期解決が可能になります。
マネジメントによるサポート体制の構築
カスハラを受けた従業員が孤立せず、適切なサポートを受けられる体制を整備することが重要です。上司や経営者が迅速に対応し、従業員が安心して働ける環境を作りましょう。例えば、カスハラが発生した際にすぐに報告できるホットラインや、心理的サポートを提供する外部相談窓口の設置も効果的です。
また、カスハラがひどい場合には法的措置も視野に入れる必要があります。暴力行為や脅迫にまで発展してしまった場合は弁護士や警察に相談することも対策の一つとなります。
クレームを業務に生かすためにできることは?

一方で、クレームは企業にとって貴重なフィードバックです。適切に対応することで、顧客との信頼関係を築き、業務改善のチャンスとなります。ここでは、クレームを業務に活かすためのポイントを紹介します。
クレームの可視化とデータ分析・顧客へのフィードバック
クレームを単なる問題として処理するのではなく、データとして蓄積し分析することで、業務改善のヒントを得ることができます。例えば、どの製品やサービスにクレームが集中しているのか、どのような対応が顧客満足度を向上させるのかを把握することで、問題の根本的な原因を特定し、改善策を講じることができます。
それらデータの分析と共に、顧客へのフィードバックにも活用していきましょう
クレームはネガティブな側面だけではなく、会社への期待やニーズを把握する機会でもあります。顧客の声を反映させることで、製品やサービスの質を向上させることができ、長期的な顧客満足度の向上につながります。また、クレームに真摯に対応することで、顧客との信頼関係を深めることが可能です。
クレーム対応のプロセスを標準化
クレームに対する対応プロセスを標準化し、従業員が適切かつ迅速に対応できる体制を整えましょう。これにより、クレーム対応にかかる時間を短縮し、顧客満足度を向上させることができます。例えば、クレーム受付から解決までのフローを明確にし、各ステップでの対応マニュアルを整備することが効果的です。
また、クレーム対応後のフォローアップも重要です。「○○のご意見を頂きましたので、○○を改善しました」というフォローアップは会社・顧客の双方に有効です。丁寧なフォローアップは顧客が再度クレームを発生させるリスクを減らすことにもつながります。
今回のまとめ

今回のコラムを読んだ方の中には「昔はこんなことぐらいで…」と言いたい方もいらっしゃるかもしれません。しかし、時代は変わりました。現代ではお客様は“神様”ではなく、対等な関係を築くパートナーとなっています。
もっともこれは以前からそうであったと考えます。それでもなお「お客様は神様」であるためには、サービス提供者に対し敬意と礼節を持って接することが重要ではないかと考えます。何かと昔と変わってきている現代ですが、人と人とが関わってビジネスが成り立つというのは太古の昔から変わりませんので、必要な敬意と礼節も同じなのではないでしょうか。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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