同世代への相続
内山公認会計士事務所の内山でございます。
今月も相続対策のお役に立つ知識を、専門家としての立場から分かりやすく解説させていただきます。
一般的なケースで言うと相続財産は子どもへ、そして孫へと世代を通して受け継がれていくものです。しかし、現代では多様なライフスタイルがありますので必ずしも次世代だけに財産が受け渡されていくわけではありません。
例えば、お子さんのいない夫婦や兄弟姉妹しか身内がいらっしゃらない場合などは次世代ではなく「同世代」へ財産は受け継がれていきます。この場合、受け継いだ側も自身の相続は近いケースが多いでしょうから、その対策は次世代の方が受け継いだ場合よりも早急に行う必要があると言えます。
そこで今回のコラムでは『同世代への相続』と題し、お子さんがいないケースの相続について注意点や財産を受け継いだ後の対策について解説していきます。以前もお子さんのいない相続は取り上げたことはありますので、そちらも併せてお読みいただければ幸いです。
目次
相続人の順位

同世代への相続を考えた時に重要となるのが相続順位です。
上図をご覧ください。配偶者がいらっしゃる方は常に優先されており、法定相続分も同様に多く設定されています。
例えば、子どものいない夫婦であれば、パートナーの両親・兄弟姉妹もいない場合はすべて配偶者が相続することになります。
他方、配偶者&兄弟姉妹が相続人というケースではいささか揉める要素も含んでいるので注意が必要です。というのも、配偶者の兄弟姉妹とお金のことを話す機会というのは非常に少ないでしょうし、ましてや相続が発生しています。兄弟姉妹によっては「なんで配偶者ばかりこんなに多く…」と思う方もいるかもしれません。配偶者としても亡くなったパートナーの兄弟姉妹は親戚と言えど他人です。「なぜパートナーの財産が彼らに…」と思う気持ちを抱いてしまうのも無理はありません。
そんな揉める要素を含むのが配偶者&兄弟姉妹のケースとなりますので、遺言書の準備をしておくのが無難と言えます。遺言書は故人が示せる最後の意思ですので、「○○に△△を渡す」とそれぞれ自身の財産を誰に譲るか明示することが可能です。
ただし、遺言書を作成する際には遺留分に気を付けて作成することをお勧めします。遺留分については以前当コラムでも解説しておりますので詳しくはそちらをご覧ください。
財産を受け継いだ後

配偶者や兄弟姉妹といった「同世代」が財産を受け継いだ後に何を行ったらよいでしょうか。まずは受け継いだ財産の棚卸を行い整理することをお勧めします。財産の種類によって次のように行っていきましょう。
現預金
これは棚卸の必要はありませんが、自身で使う分と自身が存命の内に誰かに渡したい分を分けて整理する必要があると言えます。また、多額の現金である場合は信託銀行を活用するという方法もありますので、我々税理士やファイナンシャルプランナーといった専門家も交えたうえでプランニングしていくことをお勧めします。
有価証券
まずは現在の価値を調べる必要があります。自身の生活状況によっては売却し現金化するのも悪くありません。他方、これからの値上がりが期待できそうな場合は保有を継続し、現金が必要なタイミングで売却ということになります。
保有を継続する場合は手数料の低いネット証券会社へ移すこともお勧めです。ただし、ネット証券は文字通り「ネット」証券ですのでデジタル遺産となってしまわないよう、エンディングノート等に記録し、万一の際は誰かが見つけられるようにしておくと良いでしょう。
不動産
先月のコラムで相続登記の義務化を取り上げましたが、まずは相続登記を行います。
次に共有不動産である場合は基本的に活用方法に制限がかかりますので、共有している他の親族と管理方法やこれからの活用について十分な話し合いが必要となります。
それと同時に自身の財産を受け継ぐ方に共有不動産がある旨を伝えておくと、いざ相続が発生した際でもスムーズな手続きが可能となるでしょう。
共有でなく単独所有の場合は管理方法などを決め、やはり自身の財産を受け継ぐ方がいる場合には不動産を相続した旨を伝えてあげるのが無難です。いわゆる「負動産」である場合は受け継ぐ側もあまりいい話ではありませんので、出来るだけ自身が存命の内にどう処分するかを早急に検討する必要があると言えるでしょう。
今回のまとめ

次世代ではなく同世代が財産を相続した場合、その後の対策もリズムよく行っていく必要があると言えます。受け継いだ方にお子さんがいらっしゃらない場合は最終的に国のものとなりますが、遺言書を遺すことでお世話になった方や団体への遺贈という選択を取ることも可能です。
どのような相続にも言えることですが、自身の財産を把握し誰にどうしていってほしいかをよく考え、遺言書を準備することが大切です。これは同世代の相続にも全く同じことが言えます。
弊所ではお子さんがいない相続や兄弟姉妹だけの相続といったケースもご相談可能ですので、気になることがありましたらお気軽にご連絡ください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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