経営セーフティ共済とは?
内山公認会計士事務所の内山でございます。
今月も顧問先様をはじめとしたお客様へ向けて税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説していきたいと思います。
3月は確定申告や会社の決算などが集中し事務処理的な仕事としては会計業界繁忙期となりますが、同時に来期へ向けたお客様の財務対策など戦略的な仕事も行っていかなければなりません。
上記と関連してお客様とお会いする機会も多くなりますが、コロナの影響から立ち直り業績が回復してきたお客様も多く見受けられます。そうなると皆さん気にされるのは利益の圧縮。要するに何とか節税できないか? という事になります。
そこで今回は経営セーフティ共済(倒産防止共済)を取り上げたいと思います。すでに加入している方は利便性をよくご存じだと思いますが、まだ加入されていない方は損金を作りつつ積立が出来る仕組みとなりますので、知っておいて損はないかと思います。
ぜひ最後までお付き合いください。
目次
経営セーフティ共済とは?

経営セーフティ共済は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が事業を行う共済制度となります。中小機構が扱う他の共済制度として退職金積立となる小規模企業共済というものも存在します。
「経営」「セーフティ共済」という名前の通り、中小企業の「もしも」に備える共済となっており、取引先の事業者が倒産した際に、連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
万一上記のような取引先倒産が発生した際には、無担保・無保証人で積み立てた掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れすることが出来ますので、中小企業の「もしも」を迅速に助ける制度であると言えるでしょう。
共済金の借り入れ
中小企業の「もしも」を助ける共済ですが、具体的には下記のような事態が発生した際に倒産した事業者との取引確認が出来れば共済金を借り入れることが可能です。
・法的整理
・取引停止処分
・でんさいネットの取引停止処分
・私的整理
・災害による不渡り
・災害によるでんさいの支払不能
・特定非常災害による支払不能
ただし、取引先が夜逃げをしてしまった場合は借り入れを行うことは出来ませんのでご注意ください。
経営セーフティ共済のメリット・デメリット

経営セーフティ共済のメリット・デメリットについて見ていきましょう。メリットとしては掛け金の損金算入、解約手当金の受け取り。デメリットとしては手続きの煩雑さと他のリスクへの備えが出来ていないという点が挙げられます。
デメリットも上げてみましたが、個人的にはデメリットとも言えないようなものかなとも思いますので、以下メリットから詳しく解説します。
掛け金の損金算入というメリット
経営セーフティ共済は掛金月額を5,000円~20万円まで自由に選択でき途中での増額・減額も可能です。記述の通り、掛け金は全額損金として扱えます。なお積立額は最大で800万円までとなります。
また、前納と言って期の途中で一年分を支払うことも可能ですので、例えば3月決算の会社が3月に1年分の掛け金を前納した場合はその全額が損金として算入可能です。
さらに、積み立てた掛け金は貸し付けを受けなかった場合解約時受け取ることが出来ます。12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります。戻ってきた掛け金(解約手当金)は益金となりますので課税対象です。
課税対象ではありますが、積立期間中は課税を繰り延べていることになりますので、節税を考えている会社であれば解約手当金の使い道さえしっかり決めておけば、取引先が大企業や官公庁ばかりで倒産リスクが低いという場合であっても加入するメリットは大きいと言えるでしょう。
なお、業種によっては加入できないケースもありますので詳細は中小機構HPでご確認ください。
経営セーフティ共済のデメリット?
何でもペーパーレスで会社にいながらネット上で手続き可能な時代となりましたが、経営セーフティ共済は銀行を始めとした加入手続き窓口へ自ら出向く必要があります。
また、取引先の倒産等に対して積み立てた額の最大10倍までの共済金「貸し付け」を受けるものですので、当然ながら返済の義務は存在します。ただし、銀行融資と違い倒産の事実があれば特定の場合を除き確実に融資が受けられるわけですので、返済の義務はデメリットとは言えないかもしれません。
既述の他のリスクへの備えという点は、取引先の倒産以外に存在する中小企業のリスクです。例えば代表者の死亡や病気、入院などが存在します。経営セーフティ共済ではこれらに備えることは出来ませんので、心配な方は民間の生命保険で準備をする必要があります。
以上が経営セーフティ共済のデメリットとなりますが、先ほどもお話しした通り個人的にはあまりデメリットと感じませんので、加入を検討している方はさほど気にする必要はないと言えるでしょう。
今回のまとめ

無条件で節税できる方法は世の中にありません。
基本的には課税を繰り延べているだけですので、やがて戻って来るお金(今回のケースで言うと解約手当金)の使い道を明確にしておかないと何の意味もないどころか、その際の納税資金で困ってしまうケースも考えられます。
また、節税に走るあまりキャッシュフローがショートしてしまうことはよくありますので、経営セーフティ共済への加入を検討されている方は毎月いくらくらいであれば適正か? をきちんと把握し加入されることを強くお勧めします。
なお、その際にはぜひ当事務所までご相談ください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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