これだけは気を付けたい!相続発生直後のNG行動3つ
内山公認会計士事務所の内山でございます。
相続に関連する知識を習得しようとしている方は、財産を受け継ぐ側であることが多いです。確かに、税制上有利に自分たち世代が財産を受け継ぐにはどうしたらよいか? 先代の遺産を有効活用するにはどうしたらよいか? を勉強することは必要なことです。
しかし、相続発生直後というのは気が動転しているケースも多く、せっかく学んだ知識も忘れてNG行動を取ってしまいがちです。そこで今月のコラムでは『これだけは気を付けたい!相続発生直後のNG行動3つ』と題して、取ってはいけない行動をご紹介し、なぜダメなのか? を解説してまいります。
最低限守ってほしいことを中心に解説しておりますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
凍結前にカードで下ろす…はよく聞くけどダメ

よくある話ですが、「口座が凍結される前にカードで現金を引き出しておこう」という行動はNGです。葬儀代や病院代のために故人のお金を使うという場合であっても、他の相続人へ了承を取ってから行うべきです。
後々、預金を着服したなどと言うあらぬ疑いをかけられないためにも了承を取ることは重要ですが、緊急に支払いが必要であったりした場合など、了承を取る時間がない場合は最低限領収書を保管して何に使ったかが分かるようにしておきましょう。
また、近年の民法改正により遺産分割協議前であっても一定金額を上限に預金の仮払い制度という物が誕生しました。
いくらまで払い戻しができるのかについては下記の計算式が適用されます。
・相続開始時の預金額×1/3×払戻しを行う相続人の法定相続分
ただし、上限は150万円までとなっています。
制度利用に必要な書類は下記の通りです。
①亡くなった方の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
②相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
③預金の払戻しを希望される方の印鑑証明書
一点注意いただきたい事として、本制度を利用した場合「単純承認」として成立する可能性が高くなるため、相続放棄が難しくなってしまいます。もし、相続放棄を考えているのであれば、本制度の利用を控えるべきでしょう。
勝手に名義変更もダメ

先ほど登場した単純承認ですが、これはプラスの遺産もマイナスの遺産もすべて相続するということになります。従って多額の借金を残して亡くなった場合などは相続放棄や、限定承認という選択肢も存在します。
しかし、故人の財産を使ったり名義変更したりした場合は、単純承認とみなされ後々相続放棄を行おうと思っても出来ないケースがあるのです。
主なケースとしては次の通りです。
・預金の消費、名変、解約
・不動産の名変、売却
・亡くなった方の借金を支払う
・遺産の譲渡、処分
・遺産分割協議への参加
これらを行う場合は、十分注意して行うことをお勧めします。
また、以前当コラムでも解説しましたが、スマホ代(特に機種代の分割分)には注意が必要です。
もしも、「端末新しいし使いたいから名義変更しよう」といった行動を取った場合は、被相続人のスマホ(財産)を自身のものにした(財産を処分した)とみなされる可能性は非常に高いため、避けた方が良いでしょう。
以上の事から亡くなった方の財産は遺産分割協議が完了するまで、また相続放棄する場合も含めて一切触らずにおいた方が安全な選択と言えるでしょう。
遺言書を勝手に開けてはダメ

これは自筆証書遺言が自宅から見つかった場合に該当します。自宅で見つかった場合は家庭裁判所で検認を受けてから開封する必要があるため、勝手に開封してしまうと罰せられることがあります。また、あまり一般的ではありませんが秘密証書遺言も同様に検認が必要です。
近年の制度改正によって、自筆証書遺言を法務局で預かってくれる制度が誕生しましたが、その場合は検認不要となります。同様に公正証書遺言も検認は不要です。
他方、エンディングノートに法的効力はありませんので誰がいつ見ても問題はありません。ただし、エンディングノートを見つけた場合でもすべての相続人が同席している場で開封した方が後々のトラブルも少なくなると言えるでしょう。
今回のまとめ

財産を渡す側は遺留分を考えながら遺言書を書いたり、生命保険に入ったり、信託を利用したりと様々な対策を事前に取ることが可能ですが、財産を受け取る側で可能な事前対策はあまり多くありません。
だからこそ、突然のことに動揺してNG行動を取ってしまう方は少なくないのですが、親世代に万一の際は今回のコラムを思い出していただき、落ち着いて行動するようにしていただければと思います。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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