遺言書もデジタル化?
内山公認会計士事務所の内山でございます。
問題です。
遺言書はデータ保管でも法的効力がある? 〇か×か?
……答えは×です。ただし、今のところは。
というのも、昨年から政府では遺言書のデジタル化を進められないか? という検討がスタートしており、先の自筆証書遺言方式改定もそうですが、より簡単に遺言書を遺せるようにするという仕組みを作ろうとしています。
そこで今回のコラムでは『遺言書もデジタル化?』と題して、デジタル遺言制度の背景・メリット、デメリットなどについて、現在検討が進んでいる内容を解説してまいります。紙で残す以外認められていない遺言書がどう変わっていくのか? ぜひ最後までお付き合いください。
目次
- ○ デジタル遺言書創設の背景
- ○ デジタル遺言書のメリット
- ○ デジタル遺言書のデメリット
- ○ 今回のまとめ
デジタル遺言書創設の背景

既述の通り遺言書は紙でなければなりません。方式自体は公正証書、秘密証書、自筆証書の3種類に分けられますが、いずれも紙でなければならない点は同様です。ただし、自筆証書遺言については、先の改定により財産目録は手書きでなくともよいという事になりました。
デジタル化への第一歩と言えるのかもしれませんが、あくまで財産目録のみという条件ですので、完全にPCで制作した遺言書というのは認められません。
デジタル遺言書創設の背景としては、世の中のデジタル化の波という一言だけで片づけることはできず、より気軽に遺言書を遺してもらいたいという政府の考えもあります。
所有者不明土地の問題もそうですが、財産が円滑に次世代へ引き継がれていかないと国の発展にも影響してしまいます。また、現行の遺言書はいくら自筆証書遺言であったとしても、一人で作成することはなかなか難しく、専門家の手を借りる方が多いのも事実です。
これでは“気軽に遺言を遺す”という訳にはいきませんので、政府としてもデジタルの力を利用して気軽な遺言書という仕組みを作ろうとしているのです。
デジタル遺言書のメリット

考えられるメリットとしては“気軽に遺言書”という仕組みが進むことが挙げられます。
すべてPCでO.K.となれば、遺言書のフォーマットなども利用できるようになるでしょうから、書き漏らしや形式を満たさない遺言書というものは無くなります。
また、証明書やパスワード・複合認証などのデジタル技術で本人確認をすることで署名捺印よりも厳格な確認が行えます。紛失・改ざんのリスクもブロックチェーン技術を用いれば低下させられますし、専門家との相談を希望される場合でもオンラインですべて完結させることが可能になります。
“気軽に遺言書”という未来は上記を満たせば到来することになりますが、デメリットも存在します。
デジタル遺言書のデメリット

デメリットはいくつか存在しますが、大きなものとして遺言書を遺せる状態か否か? の確認をどうするのか。という問題があります。当ブログでも多くお話ししていますが、遺言書を始めとした相続対策は「本人がしっかりしている元気なうちに」行う必要があります。
認知症等で判断能力の低下している方は遺言書を遺すことが出来ません。この確認をどのような手段で行うかは難しい問題と言えます。
また、デジタル化が進んだとはいえスマホやPCの操作が苦手な方は多くいらっしゃいますので、そういった方々のサポートも必要になってくることでしょう。
今回のまとめ

私の世代から見ると「最近はなんでも便利になって…」と思うことが多くなり、時々テクノロジーの進歩についていけないこともあります。しかし、デジタル遺言書の実用化については大いに賛成します。
遺言書さえあれば…という案件は意外と多く発生していますし、自身の財産を次世代の誰に引き継いでもらいたいか? という意思表示は非常に大切なことだと考えます。
今後も政府では検討が進んでいくことになると思いますので、続報がありましたら当ブログでも再度解説してまいります。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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