飲食業の倒産を防ぐために出来ること
内山公認会計士事務所の内山でございます。
今月も顧問先様をはじめとしたお客様へ向けて税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説していきたいと思います。
東京商工リサーチの発表によると2023年上半期の飲食業倒産(負債1,000万円以上)は424件、前年同期比78.9%増と大幅に増えたそうです。一般的に3年以内廃業率70%と言われる飲食業ですので、事業を軌道に乗せることは大変難しいです。
その上コロナ禍です。いくら協力金や給付金・助成金を活用したとしても、その後に訪れた物価高、光熱費高騰、人手不足など様々な要因により倒産件数は増えてしまったという訳です。
そこで今回のコラムでは『飲食業の倒産を防ぐために出来ること』と題し、いくつかの戦略を解説して行きたいと思います。飲食業以外の方にも応用の効く内容だと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
- ○ 飲食店の倒産を防ぐにはどうしたらよいか?
- ・従業員の定着率向上
- ・マーケティング戦略・経営効率の見直し
- ○ 値上げと付加価値の上昇
- ・食材の品質と選定
- ・メニューの多様化とオーガニック志向
- ・良質なサービス体験の提供
- ○ 今回のまとめ
飲食店の倒産を防ぐにはどうしたらよいか?

・美味しい料理
・素晴らしい接客
・リーズナブルな価格
・駅前一等地に存在する
これらが揃えば成功する可能性は格段に高くなると言えますが、現実はそんなに簡単ではありません。そもそも、上記すべてを揃えた店があったとしても赤字になる可能性が高いと言えます。なぜなら飲食業の場合、日々のキャッシュフローが非常に重要となってきますが、上記のお店はランニングコストが非常に高く、客数の予測を誤ってしまった場合は即座にキャッシュフローがショートしてしまうことでしょう。
では、日々のキャッシュフローを安定させつつ倒産を防ぐために取る手段はどんなものがあるでしょうか。詳しく見て行きましょう。
従業員の定着率向上
一般的に飲食業は労働環境が悪いとされています。低賃金・長時間労働を従業員に強いることで提供価格を抑えている事業者も一部にいることは事実です。しかし、従業員を大切にせず、労働関係の法令も遵守出来ない事業者はやがて淘汰されるでしょう。
安心して働ける環境を提供し、従業員の定着率を上昇させることは倒産を防ぐ有効な手立ての一つです。無論、賃金アップや福利厚生の充実を図った場合にはキャッシュフローに影響を及ぼしますが、思い切って提供価格の値上げを行うべきと言えます。
適切な価格で商品を提供することは自社・自店のみならず業界全体を守ることにも繋がります。「値上げ=客離れ」という側面も否めませんが、従業員を一番に考えた場合は値上げもやむ無しと言えるのではないでしょうか。
マーケティング戦略・経営効率の見直し
効果的なマーケティング戦略は、顧客を引きつけるための重要な要素です。ターゲット層の明確化や競合分析を行い、独自のポジショニングを確立しましょう。
SNSを活用したキャンペーン、地域コミュニティとの連携など、多様な手法を組み合わせることで集客力を向上させることができます。
また、経営の効率化も同時に行うべきです。在庫管理の見直しや原価計算の徹底、省エネ取り組みなどを行い、無駄を削減しましょう。さらに、ITツールやソフトウェアの活用によって業務の効率化を図り、人的リソースの効果的な活用につなげることも重要です。
値上げと付加価値の上昇

値上げもやむ無しというお話をしましたが、何の努力もせずに値上げしたところで成功するはずはありません。値上げするからには付加価値向上も行わなければなりません。
飲食店の付加価値向上として次のような施策が考えられます。
食材の品質と選定
飲食店の品質を左右する最も重要な要素は、食材の品質です。高級な食材や珍しい食材はコスト高にも繋がりますので、地元の生産者やサプライヤーとのパートナーシップを築くことで、品質管理を強化し、独自の特産品や食材を低コストで提供することができます。
メニューの多様化とオーガニック志向
顧客の好みやニーズの多様化に対応するため、メニューの多様化が必要です。ベジタリアンの方向けのオプション、アレルギー対応のメニューなど、幅広い選択肢を提供してはいかがでしょうか。また、オーガニック食材や地産地消の取り組みも重要です。環境に配慮し、健康志向の顧客に対して付加価値を提供することができます。
良質なサービス体験の提供
飲食店の付加価値を高めるためには、良質なサービス体験を提供することも重要です。
既述の通り従業員の定着力が高まれば、自ずと良質なサービスが提供できる環境が整うはずです。
細かい気配りや顔なじみのスタッフからの挨拶など、人によって良質だと思うサービスは様々ですが、従業員を大切にする店舗であればその思いはお客様にも伝わることでしょう。
今回のまとめ

コロナ禍での支援金に対しては様々な意見が国民から出されました。
「飲食店ばかりズルい」という意見はSNS等でよく目にしました。事実、不正受給などで処罰を受けている事業者も存在しますが、多くの事業者は真面目に飲食業へ取り組んでいることも事実です。
倒産を防ぐためにまず出来ることとして、従業員の定着力を高めるというお話をしましたが、言い換えるとモチベーションを上げてあげることになります。競争の厳しい業界ではありますが、だからこそ「人の力」も非常に重視される業界です。
定着力をアップさせるために経営者として出来ることはどんなことがあるのか?
飲食業だけではなく全事業者が考えるべきことなのかもしれませんね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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