争続にならない相続を目指して
内山公認会計士事務所の内山でございます。
今月も相続対策のお役に立つ知識を、専門家としての立場から分かりやすく解説させていただきます。
家庭裁判所の資料によると、相続の争いは年々増加傾向にあり、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件のうち認容・調停成立件数では、遺産額が1000万円以下の事件件数割合は33%、さらに5000万円以下になると75%となっています。(平成28年司法統計より)
「相続争いとかってお金持ちの話でしょ?」という話はよく聞きますが、実態は資産家でなくとも相続争いに発展してしまうケースは多いと言えるでしょう。
そこで今月のコラムでは『争続にならない相続を目指して』と題し、“争続”を回避するための方法について解説して行きます。財産を譲る側も譲られる側も争いごとなど望んでいないはずですので、どうぞ本コラムを参考に平和な相続を行っていただければと思います。
目次
なんで揉めるのか?

・遺族間の仲が悪い
・相続人の関係性が薄い
・遺言書の内容が不公平
・相続財産が分割しにくいものである
・遺族の中に金銭的に困っている人がいる…etc
ざっと揉める原因を上げてみましたが、相続人・被相続人・遺産とそれぞれに問題がある場合で揉め事に発展してしまうケースが存在します。
どのような問題が存在するのか見て行きましょう。
相続人に問題があるケース
・遺族間の仲が悪い
・相続人の関係性が薄い
・遺族の中に金銭的に困っている人がいる
先に上げたうちの上記3つはいずれも相続人に問題があるケースです。不況が長く続いていることもあり、金銭的にゆとりのある家庭も少なくなっているのが現状ですので、「もらえる物は一円でも多く!」と考え、遺産分割協議が中々進まないという話はよく聞きます。
また、亡くなった方の介護を担当していた相続人がいる場合には特別寄与を主張されるケースも近年増えてきたように感じます。
いずれのケースでも相続人の間で問題がある場合は拗れてしまい中々前に進まないことが多いと考えます。
「日頃のコミュニケーションを大切に譲り合いの精神で」とは言っても、現実問題として綺麗ごとだけでは行きませんので、揉めそうな場合は早々に弁護士へ遺産分割協議を任せてしまうのも一考でしょう。
被相続人に問題があるケース
既述のケースの内、
・遺言書の内容が不公平
は被相続人に問題があるケースと言えます。
単純に相続人の誰かをひいきした内容の遺言書であれば、わざわざ揉め事の種を自分からまいているようなものですので、遺言書作成の際は専門家も交え、揉め事発生リスクの極力少ない内容とすべきでしょう。
他方遺言書がないケースで揉める場合は、相続人もしくは遺産の問題とも言えますが、例えば離婚歴があり前妻との間にお子さんがいる方であれば、予め現在の家族へ紹介しておくなど揉め事に発展しない努力は被相続人がすべきと言えます。
また、遺言書がない場合は予めどんな財産があるのか? という財産目録を作成しておくと良いでしょう。デジタル遺産も含めた財産目録を作成しておくことは、相続人の助けにもなりますのでお勧めです。
遺産に問題があるケース
・相続財産が分割しにくいものである
例えば田畑や実家を相続しようとしても分割が難しい。という問題があります。不動産は分割し辛く、早期の売却も難しい遺産です。
「売却が難しいから共有にしよう」ということになり、相続人間で不動産を共有したとしても共有した持ち分をどう活用して行くかは非常に悩ましいといえます。
仮に現金化しようとしても共有部分の持ち分を売却することは現実的ではありません。そのため、相続財産がほとんど不動産であるという場合では、親が元気なうちの売却も視野に入れた対策が必要となります。
なお、相続土地国庫帰属制度が間もなく開始となりますので、要件を満たす不動産であれば本制度の利用も検討してみると良いでしょう。
争続を避けるためには?

既述の通り、相続人・被相続人・遺産それぞれに問題があると揉めやすいということがお分かりいただけたかと思います。
では、揉め事を避けるためにはどうしたらよいでしょうか?
まず、相続発生前の被相続人が元気なうちに遺言書の作成や財産目録の作成を行い、家族関係が複雑になっているのであれば、きちんと説明し面会の機会を作っておくことが必要でしょう。
また、不動産に関しても売却が難しいようであれば、誰に管理してもらいたいか? をよく考え、事前に相続人と相談することも可能です。
揉め事発生の原因の一つは「検討時間の少なさ」も関係していると個人的には思います。
「相続が発生してすぐに結論を出さなければならない」
というのは相当なストレスですので、正常な判断を下すには時間が少ないのかもしれません。
しかし、相続人・被相続人双方で事前に「財産をどうして行ってほしいのか?」というコミュニケーションの場を設けることで、検討時間は増やすことが可能です。
それでもどうしても揉め事に発展してしまった場合は弁護士の力を借りることになりますが、そうならないための備えを今からやってみてはいかがでしょうか。
今回のまとめ

財産が少ない時でも揉める時は揉めてしまう物です。
また、普段離れて暮らしていると世代間でお金に関する話は中々する機会も無いことでしょう。
幸いコロナも少し落ち着き、行動制限も徐々に緩やかな物へと変わってきましたので、世代間でリアルに会う機会を作り、相続について話し合ってみるのはいかがでしょうか。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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