任意後見で一人の相続も安心?
内山公認会計士事務所の内山でございます。
今月も相続対策のお役に立つ知識を、専門家としての立場から分かりやすく解説させていただきます。
先月のコラムでは遺言書だけでは出来ないことを実行するために、死後事務委任契約というものを取り上げました。特に身寄りのない方や親族との関係が疎遠になっている方の場合などは、死後事務委任契約を活用すると良い旨お伝えしましたが、併せて“任意後見制度”も利用しておくのがベストと言えるかもしれません。
そこで今月のコラムでは『任意後見で一人の相続も安心?』と題し、先月解説した死後事務委任契約と合わせて、所謂“おひとりさま”の相続を総まとめして行きます。
お子さんがいないご夫婦や独身の方でこれからの相続が心配であるという場合は、参考になるかと思いますので、どうぞ最後までお付き合いください。
目次
- ○ 成年後見制度って何?
- ○ 相続の順番と流れ
- ・それぞれがカバー出来ること
- ○ 今回のまとめ
成年後見制度って何?

成年後見制度とは認知症,知的障害,精神障害などによって判断能力が十分ではない方を保護するための制度です。
特に近年では認知症の増加により、成年後見制度を利用される方が増えてきたように感じますが、今回取り上げる“任意後見”は本人に判断能力がある状態で、「もし今後判断能力が低下してしまった時は○○さんに△△をやってほしい」と予め、委任する事務の内容を公正証書による契約で定めておき、本人の判断能力が不十分になった後に、任意後見人(○○さん)が委任された事務を本人に代わって行う制度です。
つまり、本人に判断能力があるうちに何をどこまで頼みたいか決めておくことが出来、将来的に判断能力が不十分になってしまった後は、上図の後見へ移行することが出来ますので、特に“おひとりさま”の場合は活用を検討しても良い制度であるといえます。
相続の順番と流れ

これはいわゆる“おひとりさま”だけの問題ではなく、家族に迷惑をかけたくないといった考えをお持ちの方にも当てはまるケースだといえます。上図をご覧ください。
任意後見契約の締結から遺言の執行までを時系列順にまとめたものです。
任意後見の契約を締結するにあたって、受任者(お願いする人)を決めることになります。これは、家族や親族に依頼することも出来ますが、弁護士や司法書士といった専門家へ依頼する方が確実と言えるかもしれません。また、“おひとりさま”の場合であればなおの事専門家へ依頼することがベストと言えるでしょう。
時が経ち、認知症の発症等により判断能力が低下すると、任意後見は法定後見へスライドし、その後は上図の通りです。
つまり、任意後見+死後事務委任契約+遺言書の3点セットを用意しておくことで、自身の終活から死後事務、財産の処理まで滞りなく進めることが可能になるという訳です。
それぞれがカバー出来ること
既述の通り3点セットを活用することがベストですが、それぞれがどのように他制度をカバーしているか見ておきましょう。
任意後見・法定後見で出来ること
介護計画や入退院への対応。生前の財産管理。死亡届の提出。
死後事務委任契約
葬儀、知人への連絡、死亡届以外の役所関係の届け出、スマホ等の解約
遺言書
財産を誰にどうしてほしいかを明示できる
以上の様に3点セットはそれぞれ出来ること出来ないことをうまくカバーしあう関係であるとも言えます。“おひとりさま”だけに限らず、多くの方が利用可能な制度であるとも言えますので、家族に頼らない場合の選択肢の一つとして覚えておいていただければ幸いです。
今回のまとめ

先月のまとめでも述べましたが、今後様々な生き方を選択する方が増えてくる時代にあって、“おひとりさま”という立場を選択する方も増えてくるのではないでしょうか。
人の数だけ考え方に違いはあり、何でも自分でこなしてしまう方も多く存在しますが、自身の死後だけは誰かに頼るしかありませんので、今回解説した3点セットを活用し、自身が望む相続の形を作っていただければと思います。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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