遺言書だけでは完ぺきではない!? ~死後事務委任契約~
内山公認会計士事務所の内山でございます。
今月も相続対策のお役に立つ知識を、専門家としての立場から分かりやすく解説させていただきます。
相続対策として遺言書を準備している方は多くいらっしゃいますが、遺言書だけでは実現不可能な死後のことも多く存在します。例えば「亡くなったことをAさんに知らせてほしい」ということであれば、遺言書に書くだけでは実現不可能な場合も考えられます。
そこで今月のブログでは『遺言書だけでは完ぺきではない!?』と題して、死後事務委任契約というものを取り上げて行きます。
まだまだ一般的には有名ではないですが、知っておいて損はありませんので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
遺言書だけではなぜダメなのか?

「遺言書を作成したから死後の事は安心」
と考えるのは少し早いかもしれません。なぜなら遺言書で書ける内容というのは財産に関することが中心ですので、冒頭お話した「Aさんに連絡してほしい」ということなどは書くことは出来ますが法的効力はありません。
また、親族のいない方や遠く離れて住んでおり関係が疎遠になっている場合などは、遺言書そのものを見つけてくれるかもわかりません。
つまり、自身の死後に発生する諸手続きを行ってもらうには遺言書の作成だけでは解決できないケースが存在するということになります。
そこをカバーするために死後事務委任契約というものが存在するのですが、どんなものか詳しく見て行きましょう。
死後事務委任契約とは?

読んで字のごとく自身の死後に発生する様々な事務手続きを変わって行ってもらう契約が死後事務委任契約となります。
施設や病院の支払い、葬儀、電気ガス水道などの解約。これらが事務手続きに該当しますが、一般的なケースとして家族が行います。
しかし、既述の通り身寄りのない方や親族との関係が疎遠になっている場合など、頼れる人がいない場合であれば死後事務委任契約を結んでおくことで、誰も手続きできず迷惑が掛かってしまうという事態は防ぐことが可能です。
死後事務委任契約はあくまで“契約”ですので、どんなことを行ってもらうのか? ということは法律に反しない限り当事者間で自由に取り決めることが可能です。先ほど上げた各種支払いや葬儀以外にも次のようなものが考えられます。
・特定の人に亡くなったことを知らせてもらう
・役所関係の届け出
・賃貸借物件の明け渡し
・遺品の処分
など
死後事務委任契約は弁護士や司法書士、行政書士といった専門家と契約することが一般的ですが、仲の良い友達や後輩と契約することも可能です。しかし、確実性といった観点から考えると費用をかけたとしても専門家に依頼することをお勧めします。
死後事務委任契約を活用した方が良いケース
家族との関係性も良好で、何かあった時は家族がすぐに来てくれる。という方であれば死後事務委任契約は必要ないかもしれません。反対に死後事務委任契約が必要になりそうな方は次の通りです。
・身寄りのない方
・親族が遠方に住んでおり疎遠になっている方
・配偶者に先立たれてしまい尚且つお子さんのいない方
いずれの方々も近くに頼れる親族がいないということが共通していると言えます。
自分はどうなのだろう?

これまでの解説の通り死後事務委任契約は人によって要不要が大きく分かれるものとなります。
死後事務委任契約を活用しようと考えている方は、まず自身の身内とどのような関係で、万一の時に頼れるのか? ということを整理し、「頼れる人は誰もいない」と結論が出た場合は、専門家へ相談し契約を結ぶのが良いと考えます。
一点注意していただきたい事として、死後事務委任契約は自身に判断能力が十分にある内で無いと契約することが出来ませんのでご注意ください。
今回のまとめ

恐らく一般の方は死後事務委任契約についてほとんどご存じないと思います。しかし、ライフスタイルはこれから益々多様化して行くでしょうから、死後事務委任契約もそれと比例して件数が増えてくるのではないかと考えます。
しかし、だからといって安易に契約することはお勧めできませんので、本当に頼れる誰かが近くにいないのか? ということを熟慮し結論を出していただければと思います。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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