デジタル遺産をどう見つけるか?
内山公認会計士事務所の内山でございます。
今月も相続対策のお役に立つ知識を、専門家としての立場から分かりやすく解説させていただきます。
前回は相続の際のスマホについて取り上げましたが、今回はスマホも含む「デジタル遺産」について解説してまいります。
人によっては紙の通帳を持っていないというケースも存在する現代ですが、その場合遺された家族が遺産を把握することが困難になってしまう場合もありえます。
「デジタル遺産」を相続することになった場合と今出来ることの2方向から解説してまいりますので、どうぞ最後までお付き合いください。
目次
- ○ デジタル遺産とは?
- ○ デジタル遺産を相続するためには?
- ・ケース① どこにどんな財産があるのか分からない場合
- ・ケース② どこに財産があるのか分かる場合
- ○ デジタル遺産を埋もれさせないために
- ○ 今回のまとめ
デジタル遺産とは?

・ネット銀行、証券
・暗号資産
・各種ポイント
・チャージ式電子マネー
・オンラインサロンなどのサブスクサービス
これらは目に見えにくい遺産である「デジタル遺産」の代表例です。どこまでを相続財産とするのか? という点は解釈の分かれるところではありますが、サブスクサービスのように家族の誰かが何らかの手続きをしなければ、課金が継続されてしまうものもありますので、ほったらかしにしておくということは出来ません。
これらデジタル遺産において一番の問題となるのは「どんなサービスを故人が利用していたか把握することが難しい」という点です。郵送物は基本的に届きませんし、営業所などが近くにないケースも多く存在します。
以上の様に財産を把握することが難しいデジタル遺産とはどのように向き合えばよいのでしょうか。
デジタル遺産を相続するためには?

残念ながら現時点で亡くなった方のデジタル遺産を完璧に把握する方法は、事前に故人がエンディングノートなどを残しておくという方法以外存在しません。
しかし、ケース別に以下のような方法が存在します。
ケース① どこにどんな財産があるのか分からない場合
このケースでは財産の有りかを探すところから始まりますが、真っ先に確認したい先として、故人のPC・スマホが上げられます。ネット銀行や証券会社などはブラウザのブックマーク又はアクセス履歴を確認することで検討を付けられますし、スマホにインストールされた金融機関のアプリや電子マネーアプリなどからも推測することが可能です。
しかし、多くの場合PCやスマホ本体にパスワードが掛けられているため、アプリ等の確認までたどり着かないケースも存在することでしょう。その際は契約した書類の控えや故人の日記帳、エンディングノートにパスワードのヒントがないかを探すという手段があります。または、パスワードを解析してくれるソフトや業者なども存在しますが、確実にパスワードが解析できるという保証はありませんので注意が必要です。
ケース② どこに財産があるのか分かる場合
故人のエンディングノートなどでデジタル遺産の有りかが判明した場合は手続きもスムーズに進みます。ネット銀行や証券であればオフィシャルサイトの問い合わせから相続手続きを進めることが可能です。その他のデジタル遺産も同様に各企業のHPから問い合わせ、手続きを進めて行けば時間こそかかる部分はあるかもしれませんが、概ねトラブルもなく進むことでしょう。
ケース①②いずれの場合でも、各種問い合わせや手続きを行う前に、後々の親族間トラブルを回避するため、必ず相続人全員の許可を取った上で進めることをお勧めいたします。
デジタル遺産を埋もれさせないために

デジタル遺産を遺された家族が見つけることは困難であることがお分かりいただけたかと思います。
その対策として最も効果的なものはエンディングノートを作成することです。以前も当コラムでエンディングノートについて取り上げたことがありますが、決められた書式はありませんので何を書いても自由な点は非常に使い勝手の良い存在と言えるでしょう。
また、デジタル遺産専用の財産目録を作成しておくということも非常に有効です。エンディングノートは自由に書ける反面、「デジタル遺産以外に何を書いておこうか?」と考え込んでしまうこともあるかもしれません。
しかし、デジタル遺産専用の財産目録であれば次のように伝えたい事を簡潔にまとめられます。
(例)デジタル遺産目録
・○○ネット銀行 普通口座 0000000
・△△ネット証券 特定口座 保有株式 □□社
・▽▽コイン 保有資産 ○○コイン
・◆◆サロン 月額○○円のサブスクサービス
上記のようにまとめ、作成年月日と本人の署名があれば遺された家族もすぐに確認することが出来ますので、非常に喜ばれることでしょう。
今回のまとめ

「財産のことは親になかなか聞けない…」
良くある話です。
しかし、デジタル遺産は全く聞かないでいると遺された家族が探すことは困難と言えるでしょう。
財産を譲る側・譲られる側双方がお互いのために事前に行動することで、後々の手間やトラブル回避に繋がりますので、年末に帰省される予定のある方は勇気をもって行動してみてはいかがでしょうか。
本年も当ブログをお読みいただきありがとうございました。
よいお年をお迎えください。
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