成年年齢引き下げと相続
内山公認会計士事務所の内山でございます。
今月も相続対策のお役に立つ知識を、専門家としての立場から分かりやすく解説させていただきます。
現在日本ではゴールデンウイークのお休みが続いています。
昨年と異なり行楽の人手も増えているようですが、コロナの感染拡大も気になるところではありますね。
さて、今月のコラムでは「成年年齢引き下げと相続」と題し、2022年4月より成年年齢が18歳に引き下げられたことによる相続の注意点について解説していきます。
お酒やタバコは20歳からのままで変わりありませんが、選挙やローンの契約は18歳から出来るようになりました。果たして相続の世界ではどのような影響があるのでしょうか?
目次
成年年齢引き下げ

※法務省HPより加工して引用https://www.moj.go.jp/content/001300586.pdf
上表にある通り2004年4月2日に生まれた方は、本コラム執筆時点ですでに「成人」として扱われるようになりました。
冒頭お話したローン契約についても自分の意思で行うことが出来るため、消費者トラブルに巻き込まれないよう注意する必要があると言えます。
今回取り上げる相続の世界において、成年年齢引き下げは主に二つの項目で影響がございます。一つは相続発生時。もう一つは贈与への影響です。
相続発生時の影響

成年年齢引き下げにより、相続発生時においては「遺産分割協議への参加」「未成年者控除」の二つが影響を受ける項目であると言えます。それぞれについて詳しく見て行きましょう。
遺産分割協議への参加

遺産分割協議とは遺言書がない場合に、「誰がどのくらいの割合で遺産相続するか?」を話し合うことですが、揉め事がない場合は法定相続分通りに分割されるケースが多いです。
ただし、未成年者が相続人である場合、大人たちの話し合いの場へ対等な立場で臨むということは現実的ではありません。
そこで、未成年者が相続人である場合は「特別代理人」を選定する必要がございます。
①親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
②親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。(民法826条)
民法826条にもある通り、特別代理人の選任には家庭裁判所を通す必要があります。子どもの相続する権利を親が自分にとって都合のいい様にしないための制度であるとも言えますが、成年年齢の引き下げにより今後18歳が相続人となった場合、特別代理人を立てる必要はありません。
未成年者控除
未成年者控除とは相続や遺贈を受けた法定相続人が未成年の場合、相続税そのものから税額控除されるという制度です。未成年者控除には上限額が決められており、成年年齢引き下げにより、上限額が実質的に減ることになりました。
控除上限額の求め方
(成年年齢-相続や遺贈で財産を取得した満年齢)×10万円
仮に14歳5カ月で相続財産を取得した場合は次の様な計算となります。
(18歳-14歳)×10万円=40万円
これが20歳を成年とする場合であれば、60万円の控除となったわけですので、控除できる枠が減ってしまったということになります。
贈与への影響

上表は贈与税の税率と控除額を一般・特例と分けて示したものです。
「18歳以上」と表記のある特例贈与財産ですが、2022年3月31日までは「20歳以上」ということになっていました。一般贈与との違いは控除額となりますが、具体的に計算してみましょう。
(例)親から15歳の子どもが500万円の贈与を受けた時
(500万円-110万円(基礎控除))×30%-65万円=53万円
(例)親から18歳の子どもが500万円の贈与を受けた時
(500万円-110万円(基礎控除))×15%-10万円=48.5万円
同額の贈与を比較すると、特例贈与で計算した方が得をするということが分かります。贈与税の基礎控除自体は110万円であることに変わりありませんが、成年年齢引き下げによって、これまでより2年早く子や孫への贈与を有利に行えるということになりました。
今回のまとめ

成年年齢引き下げに伴う相続への影響は限定的であると言えます。しかし、贈与に関しては子や孫世代への財産移転が2年早く有利に行えるということになりましたので、相続対策として贈与を活用したい方にとって追い風と言えるでしょう。
ただし、名義預金と見られないよう贈与したお金の管理は子や孫世代へ任せるという決断が必要であることは変わりませんので、贈与を行う際は慎重に判断し、税理士へ相談してから行うと良いでしょう。
当事務所では贈与に関するご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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