覚えておきたい4つの利益
内山公認会計士事務所の内山でございます。
今月も顧問先様をはじめとしたお客様へ向けて税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説していきたいと思います。
マーケティングの話題が続きましたが、今月は原点に立ち返り『4つの利益』について解説して行きます。
専門的な会計の知識は我々税理士・会計士が把握しておけばよいことではありますが、基本的な会計知識に関しては経営者・経理担当者の方も把握しておいた方が、会社の現状分析やキャッシュフロー予測も立てやすいと考えます。
分かりやすく解説してまいりますのでぜひ最後までお付き合いください。
目次
利益とは?

『4つの利益』とは何か? をお話しする前にそもそも「利益」とは何なのかについて簡単に触れておきましょう。
企業活動に係わらず、あらゆる経済活動は「利益」と「損失」で成り立っています。読者の皆さんはよく存じ上げていると思いますが、「収益」-「費用」=「利益」となります。
(例)
一個100円で仕入れたものを170円で販売したとします。
この時の利益は170円-100円=70円
となりますが、企業活動はこのように単純な物ばかりではありません。そこで損益計算書では利益を“4つ”に分けて記すことで、収益・費用・利益の三要素を分かりやすく把握することが可能となるのです。
正に会社の現状を知るための指標と言えますが、「4つの利益」とは具体的にどのようなものなのか詳しく見て行きましょう。
売上総利益

「売上総利益」は、売上から「売上原価」を引いたいわゆる「粗利=付加価値」です。ここで言う「売上高」とは商品やサービスを販売・提供するといった、企業の本業と呼べる営業活動で得た収益のことを指します。
一方で「売上原価」とは商品の仕入れや製造にかかる費用の事ですが、製造業の場合売上原価に製造原価が含まれるため正確な「粗利=付加価値」とは言えません。一般的には売上原価が小さいほど儲けも大きくなっていきます。
営業利益

「営業利益」とは本業の営業力で稼いだ利益のことを指します。「販売費・一般管理費」には従業員の給料や事務所の家賃。交際費・通信費・広告費など企業活動を行っていくために必要な費用が該当します。
ちなみに先述の売上総利益の“率”がわかっていると、本業に係る1か月の販売費や一般管理費は概ね一定ですから、売上がわかれば「売上×売上総利益率-販売費・一般管理費」の算式で1か月の営業利益が概算つかめます。
売上総利益率は「売上総利益÷売上高」で求めることが可能です。キャッシュフローの予測を立てるためにも重要な指標となりますので覚えておきましょう。
経常利益

「経常利益」は、企業が事業全体から経常的(常に変わらず一定)に得た利益です。本業以外の財務活動などによる収益と費用も反映させますから、例えば借入金が多く利息の支払いの負担が大きい場合は、「営業利益」に比べると経常利益は小さくなります。
つまり、「売上利益」を追い求めるあまり借入金が多くなり「経常利益」が悪化してしまっては企業の収益力は低下していると言ってよいでしょう。そのため、経常利益は会社の経営成績を最も把握しやすい数字とされています。
営業外収益の主なものとしては「受取利息」「有価証券利息」「受取配当金」「雑収入」などが上げられます。記憶に新しい所ではコロナの持続化給付金が「雑収入」に当たります。
営業外費用には既述の「支払利息」や「支払手数料」などが該当します。
純利益

「純利益」は、「経常利益」から通常の企業活動には含まれない例外的な「特別収益」や「特別損失」を含めて計算されます。「経常利益+特別利益-特別損失=税引前当期利益」となり、この数字が黒字であった場合法人として所得税を納付する必要がございます。
所得税等税金の控除前を「税引前純利益」、税金の控除後を「税引後純利益」と呼び、企業のすべての収益から、すべての費用・損失を差し引いて算出される利益となるため、最終的に「繰越利益剰余金」として資本となる利益です。
余談ですが多くの経営者にとって関心の高い「節税」は、「税引前当期利益」をいかに圧縮するかという話になります。しかし、過度な「節税」は企業の体力である「内部留保」=「利益剰余金」を奪うことにも繋がりますので、安易な節税プランは避けた方が賢明です。
4つの利益のどれを見るか?

一見最後に残る「純利益」が一番重要に思えますが、「特別利益」や「特別損失」といった、企業活動を行って行く上でイレギュラーとなる収支も含まれた上での数字であるため、経営判断をする指標としてはふさわしくはありません。
では何を元に経営判断を行っていくかという話になりますが、「経常利益」を重視すると良いでしょう。「経常利益」は会社の資産運用益や借入金の利息なども加味されることになるため、事業全体に関する数字を見ることができ、会社の正常な収益力がどのくらいなのかを判断するのにふさわしい数字となります。
今回のまとめ

今回は基本に戻り「4つの利益」について解説させていただきました。
「純利益」の項目で「内部留保」について触れましたが、こんな時代だからこそ企業としての“貯金”はとても重要です。換金性の高い資産を多く持つことで、万一営業活動が完全にストップしてしまった場合でも従業員の生活を守ることが出来ますし、“倒産”という最悪のシナリオを回避することにも繋がります。
コロナの感染拡大がいつ治まるかは誰にもわかりませんが、「4つの利益」を理解することは自社の経営状態を正しく判断することに繋がり、結果的に会社を守ることにもなりますので、経営基礎知識の一つとして覚えておいていただければ幸いです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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