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相続登記が義務化されるかもしれません

こんにちは。

内山公認会計士事務所の内山でございます。

 

今月も相続対策のお役に立つ知識を、専門家としての立場から分かりやすく解説させていただきます。

 

先月のブログでも最後に取り上げましたが、「相続登記の義務化」について今回は解説していきます。実家を遠く離れて生活拠点を築いている方にとって、実家の土地や田畑といった不動産は財産として相続したいものでしょうか?

 

人によって考え方は様々ですので、相続した方が良いか否かは何とも言えませんが、もし不動産を相続しようと考えているのであれば、今後相続登記が義務化されるということは是非知っておいていただきたい知識となります。

 

相続登記とは一体何なのか? という基本的な部分から解説してまいりますので、どうぞ最後までお付き合いよろしくお願い致します。

目次

相続登記とは何か?

「登記」という言葉を聞いたことのある方は多くいらっしゃることでしょう。
「登記」とは不動産や法人などの重要な権利や義務を各種法によって保護し、円滑な取引を実現させるための制度です。
重要な権利の中には不動産の所有権も含まれますので、今回解説する「相続登記」を簡単な言葉で言うと次のようになります。

『相続が発生して不動産を受け継いだ場合に新しい所有者の名義に変えること』

要するに不動産の名義変更を行うわけですが、これまでは義務化されていませんでした。正式には2021年4月時点でも義務化されていませんが、今国会で法案成立を目指し、早ければ2023年度より施行(法律のスタート=相続登記義務化)となるそうです。
相続登記が義務化された場合、怠ると10万円以下の過料という行政罰が課せられることになりますので、不動産を相続する予定のある方は登記についても今から十分注意を払っておく必要があると言えるでしょう。

なぜ義務化されるのか? ということですが、空き家問題解決を目指すためというのが政府の方針です。相続登記を放置するということは、謄本上の所有者が誰かわからなくなり、実態上の所有者も世代交代が進むと、誰の持ち物かわからない不動産が増え、都市整備や不動産の円滑な取引に支障をきたしてしまう恐れがございます。

また、老朽化した建物は台風や地震などで周囲に損害を与える可能性もありますので、国としても亡くなった方の名義のままにしてある不動産は現在誰の持ち物になっているか? を明確にすべく「相続登記義務化」の法整備を開始したというわけです。

ちなみに現在は相続登記が義務化されていませんが、なぜ自分の権利を守る事にも繋がる「登記」を行わない方が多いのでしょうか? 

相続登記は面倒なイメージ…

相続登記を行わない一番の理由は「なんだかめんどくさそう…」というものが多いと個人的には感じています。
既述の通り現在は登記を行わなかったとしても罰則はありませんし、相続人間で揉め事も無ければ誰からも意見されること無く、相続によって取得した不動産は次世代の方の物とされるケースが多いのです。

また、もう一つのよくあるケースとして「不動産の価値が低い」というものも存在します。「わざわざ二束三文の田舎の土地をお金かけて司法書士に頼んでまで登記する必要あるのかな?」と思ってしまう方も多いのです。
司法書士へ依頼しなかったとしても、相続登記の際は登録免許税として1000分の4が不動産の固定資産評価額に対して課税されますので、実家の土地と建物・田畑といった場合などはそれぞれに税金が発生します。

「面倒」「価値の低い不動産にわざわざ費用をかけたくない」
気持ちはわからないでもないですが、登記を行わないことによるデメリットも存在するのです。

相続登記を行わないデメリット

相続登記を行わない代表的なデメリットとして、売却不可や担保設定不可が挙げられます。また、相続登記を長期間放置すると世代交代が進み、相続人の関係性もより複雑なものとなってしまうケースがほとんどです。特に共同所有となっている不動産などは持ち分の売却という権利関係がさらに複雑になるリスクも秘めていますので注意が必要です。
一つずつ見て行きましょう。

売却不可・担保設定不可

自分が相続したにもかかわらず、先代の名義のままになっている不動産を売却することは出来ません。また、その不動産を担保にお金を借りることも不可能です。

つまり相続した不動産を活用しようと思っても、名義が変わっていなければ何も出来ないということになります。ただし、農地に関しては「亡○○○○相続人」が所有者となって耕作希望者との利用権設定(農地の貸し出し契約)が出来る場合もありますが、後の世代のことや小作料(農地利用料)の受け取りを考えると、相続登記を行っておく方が良いでしょう。

先月のブログでもご紹介しましたが、農地を相続した場合は法務局への登記とは別に、概ね10カ月以内に農業委員会へ届け出を行うことが義務化されています。届け出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合は10万円以下の過料が科されることがありますのでご注意ください。

持ち分の売却

相続が発生した際に法定相続分通り分割すると上図のようになりますが、不動産が高額なものではなかった場合、先に述べた通り相続登記が行われていない状態も多く存在します。

今回の例では相続人の間で揉め事も無く、母親がすべての不動産を相続することになったとします。しかし、登記(名義変更)を行ったわけではありませんので、自分の相続分を超える部分(今回の例だと1/2)について第三者に権利を主張することは出来ません。
つまり、第三者から見れば自宅や畑は母親単独で所有しているわけでは無く、子どもたちも含めた相続人全員で共有している状態と見られてしまいます。

もし、子どもたちの中で誰かが借金を抱えてしまい、差し押さえを受けるような事態になったとしたら借金を抱えた人の持ち分である1/6は差し押さえられてしまいます。
すると、すべて自分が所有していると思っていた母親は、差し押さえに来た全く知らない他人と不動産を共有することになってしまいます。
母親は自宅と畑すべてを正式に自分の所有物に変更したい場合は、差し押さえられた持ち分を買い取る以外に手段はありませんので、無駄な出費が発生してしまうことになるのです。

また、例え持ち分を買い取ることなく共同所有のままにしたとしても、世代交代が進めば権利関係はさらに複雑化していくことが予想されますので、相続登記が義務化されるから手続きする。のではなく、相続が発生したら預金の解約などとセットで「相続登記」という手続きも必要だとご認識ください。

今回のまとめ

①相続が発生
②相続税を納めるほどの財産は無い
③相続人の間でとくに揉め事も発生しない
④銀行預金だけ解約し相続人で分けて終了

非常に多いケースです。特に相続税の申告が必要でない場合や揉め事が無かった場合は専門家に相談することも無いでしょうから、上記のような順番で淡々と手続きが進行し不動産に関してはずっと手つかず状態で放置されてしまうのです。

先に述べた通り登記を行わないデメリットは義務化される・されないにかかわらず存在しますので、自身の権利をしっかり守るという意味でも、不動産の相続と相続登記はセットで考えることを強くおススメいたします。また、実家を遠く離れて暮らす方であれば先月解説した「相続放棄」も併せて検討してみましょう。

自分がどのような選択を取れば良いのか疑問に思われた方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

※なお、当ブログは一般的なケースを元に解説しておりますので、個別のご相談・ご回答を希望される場合は下記よりお問い合わせください。

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