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株式会社と合同会社どちらを選ぶ?

こんにちは。

内山公認会計士事務所の内山でございます。

今月も顧問先様をはじめとしたお客様へ向けて税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説していきたいと思います。

 

先月は「法人成り」について解説しましたが、法人成りを決めたとしても「株式会社」と「合同会社」どちらを設立するべきか悩んでいる方もいらっしゃることでしょう。

そこで今月は「株式会社と合同会社どちらを選ぶ?」と題して、制度上異なる点や注意していただきたい点について解説してまいります。

 

皆様のビジネスにとってどちらがベストな選択となるか判断する手助けとなれば幸いです。今月もどうぞ最後までお付き合いをよろしくお願い致します。

目次

株式会社と合同会社の初期費用

上表はそれぞれの法人設立にかかわる初期費用です。

株式会社の場合、公証役場での定款認証が必要となりますので、定款認証手数料や定款の謄本代が発生するのに対し、合同会社では定款の認証自体が不要であるため費用は発生しません。

また、登記の際に支払う登録免許税の最低額も異なります。
計算式は資本金の額×0.7%となりますので、株式会社の場合2,143万円以上、合同会社の場合は858万円以上の資本金があれば最低金額を越えてきます。ただし、個人事業から法人成りする際、登録免許税が最低金額以上となるのはレアケースと言えるでしょう。
なお、登記の手続きを司法書士に依頼した場合は上表合計額に司法書士報酬がそれぞれ加算されます。

表を見てみると合同会社の方が設立にかかわる初期費用を安く抑えることが出来ますが、初期費用以外の違いをもう少し詳しく見て行きましょう。

株式会社と合同会社の違い

合同会社という法人形態は2006年5月1日より施行された新会社法によって新たに設けられたものです。有名なところではアップルジャパンやアマゾンジャパンが合同会社という形態を取っています。
新会社法以前では有限会社という法人形態も存在していましたので、法人設立と聞くと「株式会社」か「有限会社」を思い浮かべる方も多くいらっしゃるかもしれませんが、現在では新たに有限会社を設立することは出来ません。

社員=出資者 株主=出資者

ここでいう社員とは正社員や契約社員といった意味での社員ではありません。
合同会社の場合、会社を運営していく元になるお金を出資してくれる人を社員と呼びます。株式会社における株主のようなものとお考え下さい。

株式会社の場合、役員変更等社内の重要事項を決めるためには株主総会を開催する必要がありますが、合同会社の場合社員総会というものがそれに当たります。
また、株式会社は決算ごとに株主総会を実施する必要があるのに対し、定款に定めの無い場合合同会社では開催不要です。

会社の所有者と責任

株式会社は原則としてオーナー(株主)と経営者(役員)は別の人となっていますが、法人成りした当初はオーナー=社長(代表取締役)というケースが一般的です。会社規模が大きくなり、他社からの出資や上場するような会社となれば代表取締役以外も株主となり、会社運営に関与するように変化していきます。

一方、合同会社はオーナー(社員)=経営者(業務執行者)となりますので、小規模ビジネスや家族経営のビジネスなどに適していると言えるでしょう。社員が複数存在する場合はその中から代表社員を定款で定めることも出来ますので、株式会社で言う代表取締役に相当する役職を設置することも可能です。

ちなみに、合同会社では代表取締役という役職は存在せず、一般的に「社長」と呼ばれる役職は先述の通り「代表社員」となりますのでご注意ください。

出資者の責任範囲はいずれの会社形態でも間接有限責任となりますので、出資した金額以上の債務を背負うことはありません。

役員の任期と決算公告

株式会社の役員任期は最長で2年となりますが、非公開会社(株式の譲渡制限が付けられている会社)の場合最長で10年となります。任期が切れ重任となった場合でも登記の必要がありますので、2年ごともしくは10年ごとに登記費用が発生するとお考え下さい。

また、決算公告も株式会社では必要になりますので毎年公告費用が発生します。一般的には「官報へ掲載することにより公告する」と定めた定款が多いですが、電子公告と言って自社HPで公告することも可能です。なお、電子公告を採用する場合は定款で定める必要があります。

株式会社では役員任期・決算公告でランニングコストが発生しましたが、合同会社でこれらは定められていません。つまり、役員に任期はありませんし決算公告を行う必要もありません。手間やコストという面だけで見れば合同会社の方が有利であると言えるでしょう。

利益の配分

株式会社の場合は出資した額(持っている株数)に応じて配分が行われます。
一方、合同会社は自由に決められますので1円出資した人と100万円出資した人の利益配分を同額とすることも可能です。

利益配分はいずれの法人形態でも行うことは出来ますが、一般的にオーナー社長の場合利益配分を行うことは稀ですので、合同会社の方が株式会社に比べ自由に利益を配分できるという認識をお持ちいただければと思います。

対外的な信用

既述の通りアップルやアマゾンも日本法人は合同会社ですので、新会社法施行時に比べ「合同会社」の知名度は上がってきたと個人的には感じています。

しかし、「株式会社」に比べるとまだまだ知名度は低いと言わざるを得ません。知人に合同会社を1人で経営している方がいらっしゃいますが、よく「合同ということは誰かと2人でやっているの?」とお客様から聞かれたりすることもあるそうです。
金融機関に融資の申し込みを行う場合は決算書や事業計画書を見て与信判断を行いますので、株式会社か合同会社かはさほど問題になりませんが、一般の方やお客様からの見た目という点で判断した場合、現状では株式会社の方が良い印象を持たれる可能性が高いと言えるでしょう。

合同会社の事業承継

一度ここまでを整理してみましょう。

合同会社
・設立初期費用が安い
・ランニングコストが安い
・株式会社に比べ自由度が高い
・対外的には株式会社より信用が低い

株式会社
・資金調達方法が合同会社に比べると多い
・対外的な信用度が合同会社に比べ高い
・初期費用やランニングコストが高い

一見すると合同会社の方が多くのメリットを有しているように見えます。しかし、合同会社は事業承継時に困ったことになってしまう可能性も含む企業形態なのです。

持ち分は相続対象外

オーナー社長の場合、株式会社であればすべての株を自身で所有している状態がほとんどです。そのため、社長が亡くなったとしても会社の株式を相続すれば2代目社長としてお子さんや配偶者が経営に携わることになります。

しかし、合同会社の持ち分(出資した分)は相続の対象になりません。さらに、社員(出資した人)が一人だけの合同会社であれば、その方が亡くなった場合法定退社という扱いになりますので、合同会社は自動的に解散となってしまい事業を継続することは出来ません。
もっとも持ち分を払い戻してもらう権利は家族に残りますが、事業を継続したい場合あらかじめ定款に持ち分を承継するということを定めておく必要があるのです。

上図は実際に存在する合同会社の定款から許可を得て抜粋した部分ですが、この会社の場合持ち分承継が定款で定められているため、万一オーナー社長が亡くなったとしても家族が持ち分を承継することになりますので、会社を清算する必要は無く事業を継続して行けるということになります。

社員を2人以上にする

1人だけしか社員がいない場合に比べて会社が解散になってしまうリスクを少なくすることは可能です。ただし、合同会社は1人1議決権ですので、2人の意見が合わないと会社の重要事項が決まることはありません。
これを回避するためには日頃の関係性を良くしておくということも重要ですが、「業務執行社員」を一人にしておくという手段も有効です。「業務執行社員」とは字の通り会社の業務を執行していく人ですので、自身が業務執行社員。もう一人の方が社員としておけば、会社の業務が滞ってしまう可能性を低くすることにつながります。

一方、株式会社は出資した金額に応じた議決権ですので合同会社に比べ株主が増えたとしても意見対立による業務の停滞は可能性として低くなります。

今回のまとめ

事業承継時の注意点さえクリアすれば合同会社の方がより高いメリットを享受できると言えますが、将来的に事業を発展拡大させて行く予定がある方や、「株式会社」という形態にどうしてもこだわりたいという方であれば「株式会社」を選択すべきと言えるでしょう。

どちらの法人形態を選択するにせよ、法人として使える節税手法は同じですし、社会保険の加入義務や住民税の均等割りもまた同様です。
ご自身の業種、従業員の想い、業界の将来性、資金繰り等から総合的に判断して決断されることを強くおススメいたしますので、どちらの法人形態にするか迷っていらっしゃる方はどうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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