マーケティング基礎知識その②
内山公認会計士事務所の内山でございます。
本年も顧問先様をはじめとしたお客様へ向けて税理士・会計士としての立場から、専門的な知識・情報をわかりやすく解説していきたいと思いますので、昨年同様お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
2021年となりましたが明るいニュースは相変わらず少ない世の中です。今回の緊急事態宣言は、特に飲食・観光関連の事業を営んでいる方にとって大きな痛手となってしまうことでしょう。もちろんその他の事業も例外ではなく、ニューノーマルと呼ばれる世界への適応が求められています。
そこで本年最初の経営者様向けコラムでは、改めて「集客」についてお話していこうと思います。先月もマーケティング関連のお話をさせていただきましたが、こんな時だからこそ「集客」の考え方が重要ではないかと思います。それも、お金をあまりかけない集客を知っておく必要があるはずです。
コロナ禍が続いておりますので、広告宣伝費を大きくかけることなく集客するにはどうしたらよいか? 基本的な部分からお話してまいりますので、皆様の事業運営のヒントとなれば幸いです。
目次
外部集客

上図は広告出稿の基本的な形を表現したものです。
あなたの会社やお店が扱う商品・サービスを「お客様になりそうな人のいる世界」へ向けて「こんなのありますよ。どうですか?」と発信します。ここで言う「お客様になりそうな人」とは、あなたやあなたの会社・お店とこれまでに関りが無い方々を指します。
このように自社のことを知らない層(外部)へ向けて広告を出稿する場合、前回のコラムでも解説しましたが、理想のお客様像を決めることが重要です。
「とにかく世の中へ広く、多くの人の目に留まるように広告を出す」というのは広告費の潤沢な大企業が行うことです。
当コラム読者の方は中小企業経営者や個人事業主の方がほとんどだと思いますが、大企業と同じことを行っても無意味とは言えませんが、効果は薄いと言えるでしょう。だからこそ「お客様になりそうな人がいる世界」へ向けて広告を出稿することが大切です。
使用するメディアは商品・サービス・店舗の有無などによって異なりますが、基本的な考え方として「チラシを打ったからお客様が来るはずだ」や「ネット広告を打ったから問い合わせが多く入るはずだ」という考えは誤りです。
あなたの理想とするお客様層は、普段どのようなメディアを見て購買意欲を刺激されるでしょう? 地域のフリーペーパーなのか、SNSなのか、SNSであればどのSNSなのか等、細かな部分まで考えて、広告出稿するメディアを選択するようにすると良いでしょう。
最終的な広告出稿や広告物の製作には代理店や制作会社の力を借りることもあると思いますが、マーケティングや集客に関する最低限の知識と理想のお客様像を持った上で担当者と打ち合わせをするのと、まったく何も知らず、決めていない状態で打ち合わせをするのとでは、広告効果にも差が表れてくる可能性が高いと言えるでしょう。
また、良質な代理店や制作会社であれば理想のお客様像に合ったメディアとその選定理由も丁寧に教えてくれるはずです。
理想のお客様像を決定し、良質な代理店もしくは制作会社と出会い広告を出稿することになったとしても、一般的に外部へ向けての広告は投下するお金も大きくなってしまうケースが多いです。冒頭お話したようになるべくお金をかけずに集客を行うという点だけで考えると、外部への集客よりも重要なのは次にご紹介する内部集客の方が適していると言えます。
内部集客

ここで言う内部集客とは「既存のお客様」と「連絡先だけ知っているお客様」へ向けて、商品・サービスを売り込むのではなく「情報発信」を行うということです。砕けた言い方になってしまいますが「うちの会社・お店やってるよ」と存在をアピールすることが重要です。
特に「連絡先だけ知っているお客様」=「見込み客」になりますので、いつ購入意欲がわいてくるかはわかりません。せっかく購入意欲がわいた時に、あなたの会社・お店の存在を忘れられては困りますよね。だからこそ、情報発信という手段を用いて存在を忘れないでいただく必要があるのです。
このように、既存客や見込み客へ対して情報発信を行っていくことを「リストマーケティング」と呼びますが、先に解説した外部集客と異なり、コストは少なくて済むケースが多いです。一般的に既存客と新規客へ対する広告費のかかり方は1:5と言われています。
つまり、新規客を獲得するためには、既存客の5倍のコストが発生するということです。
既存客は程度の差こそあれ関係性を築けている方々ですので、少ないコストで再度の契約・来店に繋がる場合が多いというわけです。一方で見込み客は購入したことは無いかもしれませんが、少なくともあなたやあなたの会社・お店と見込み客にとってプラスとなる何らかの関りが過去にあったわけですから、やはり新規客と比べ購入してくれる可能性は高いと言えるでしょう。
なぜ情報発信なのか?
「既存客や見込み客なら営業かけても良いのでは?」
こう考える方もいらっしゃることでしょう。確かに定期的に購入する商品などであればそれも一つの手段だと思いますが、過去に一度だけ購入した方や、資料請求だけ申し込んだ方にいきなり営業をかけることはどう思われますか? あまりいいイメージは持たれない場合もあることでしょう。
しかし、情報発信は基本的に売り込みゼロです。既存客や見込み客に対して「あなたに役立つと思ったのでこんな情報を届けますね」というのが本題です。決して営業活動(売り込み)ではありません。
ただし、「こんなサービスもあるので○○で悩んでいる方がいれば解決できるので気軽に相談してくださいね」というのも情報発信の一つです。一見売り込みに見えるかもしれませんが、「○○で悩んでいる方の悩みを解決できる」という情報を提供しているので、売り込み100%ではありません。
他方、良くない例として
「○○という商品を発売しました!」
「○○というサービスが今人気です!」
これらは情報を発信していますがただの売り込みです。どんな情報でも構わないから発信するのではなく、
1.既存客や見込み客にとって役立つから発信する。
2.既存客や見込み客が○○という悩みを抱えていそうだから、それを解決できる情報を発信する。
という二点を守って、定期的に情報発信を行っていきましょう。
情報発信のツールとしてメルマガ・LINE公式アカウント・DMなどがありますが、業界や扱っている商品・サービスによりどれが適しているかは千差万別です。飲食や観光のように視覚的に訴えることが出来る業界であれば、メルマガ+動画や、LINE公式アカウント+動画なども非常に効果的だと考えます。
いずれにせよ、発信した情報に対して問い合わせが来た場合、契約や購入・来店に繋がる可能性は非常に高いと言えるでしょう。
コラボと貢献営業

内部への集客(情報発信)と並行してぜひ取り組んでいただきたいことがコラボ・貢献営業です。
コラボは自社と同じ業界でチームを組み集客を行うということです。
コロナ禍の現状ではリアルイベントの開催は難しいと思いますが、ネットを使ったイベントを開催するであるとか、同業者でYouTubeLIVEを行うといったことも出来ますね。
また、同業者ということは理想のお客様像も似ている場合があります。業界や業種によってはリストを交換するということも出来るでしょう。それが出来ない場合でも、同業者からの推薦はいただけるかもしれません。同業者同士が推薦するというのはセミナー業界や教育業界でよくある手法ですが、もしあなたの提供する商品やサービスがネット上などで同業者から推薦されていたらどうでしょう? お客様からの見た目も変わるはずです。
お互いが同業者であったとしても、決して敵ではありません。パイを奪い合うのではなく、事業を長く続けていくために互いを高めあい、助け合い、お客様の役に立っていくということは大切なことの一つだと考えます。
貢献営業
「そうは言ってもコラボ先なんてないよ…」
確かに業種・業界によっては難しい方もいらっしゃるかもしれません。そんな場合には貢献営業をおススメします。
あなたの理想のお客様像のリストを持っている業種・業界は同業者以外でいませんか?
例えば私のいる税理士業界の場合、保険営業の方がそれに該当します。保険営業の方で法人保険の提案をしている時に先方の経営者から良い税理士いないかという相談を受けた際や、個人保険のお客様で相続税申告の相談を受けた場合など、私を紹介して頂いたりすることはよくある話です。
なぜご紹介がいただけるかということですが、月に一度ほど保険営業の方向けに決算書の見方や税務申告書の見方、相続税関連の基礎知識などの勉強会を実費だけで開催しています。
保険営業の方は現場で役立つ税務知識を出来るだけお金をかけず習得したい。
私はお客様を紹介してほしい。
両者の要望が一致していますね。そして何より、私の理想のお客様像である法人経営者や相続でお困りの方に巡り合える可能性は彼らを経由した場合高まりますし、ご紹介頂く際も彼らから事前にお客様へ私がどういう人物であるかの説明もされているので、スムーズに商談へ入ることも出来るというわけです。
貢献営業の注意点
貢献営業は提携とも言えますが、提携関係を組むうえで勘違いしないでいただきたい点として必ず守るべき順番があります。
1.お客様の利益(役に立つこと)
2.提携先の利益(私の場合は保険営業の方)
3.自分の利益
まず、自分の利益を第一に考えていると提携関係は早々に破たんすることは誰が見ても明らかです。
次に間違いやすい点として提携先の利益は一番ではなく二番です。あくまで、お客様の利益が一番であって、提携先の利益はお客様の利益が出てからです。私の場合、保険営業の方が営業しやすい環境を作ることはしますが、「保険に入った方が良いですよ」ということはお客様に利益が出ない限りおススメすることはありません。
保険を使わない方が良い場合ははっきりそう言いますし、そもそも税理士に頼むまでも無くご自身で出来てしまうようなことであれば、アドバイスだけしてお金は頂かないといったこともあります。
逆に提携しようと思っている方が自分の利益を一番にしてくれと言ってきた場合、その関係は解消するようにしています。カッコいいことを言うつもりはありませんが、お客様の利益を一番に考えられないような方と提携し貢献したところで、その関係はストレスになりますし何よりお客様にとって良くありませんね。
貢献営業にチャレンジされる方。またはすでに行っている方は上記の順番を十分に意識して活動していただければと思います。
今回のまとめ

前回に引き続きマーケティング・集客に関する事柄をお話させていただきました。コロナの影響が今後事業にどのような影響を及ぼすかは誰にもわかりません。
しかし、どんな時代が来たとしても集客を疎かにしてよいという時代にはならないことでしょう。むしろ、多様なニーズ・メディア・生き方が溢れる現代において
「自分はこんな情報を届けることが出来ますよ。こんなことできますよ」
と発信していくことは、コストをかけず認知度を高め、売り上げをあげていく手法の一つではないでしょうか。
当事務所でも既存のお客様への情報提供に重きを置いておりますが、今年はより多くの方へ正しい情報をお届けするべくYouTubeへの投稿も行っていこうと考えております。皆様もご自身の業種・業界に応じて各種ツールをご選択いただき「情報発信」を積極的に行って行かれることをおススメいたします。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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