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借入金の返済(元金)はなぜ経費にならないのか?

こんにちは。

内山公認会計士事務所の内山でございます。

 

相続に関する基本的な知識と並行して、当ブログでは主に会社経営者・個人事業主の方に向けた、経営上知っておくと便利な経理・財務の知識についても月一回程度で更新していくことと致しますので、相続に関する記事同様、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

 

さて、経営に関する記事の第一回となる今回はコロナ禍の現状を反映して、「借入金の返済(元金)はなぜ経費にならないのか?」というテーマで解説させていただきたいと思います。政策金融公庫等に代表される金融機関でも新型コロナウイルス感染症特別貸付と銘打ち、金利・返済期間・借入額が平時と比べ有利な条件での貸し付けが始まっております。すでにご利用になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

しかし、借りたお金は当然のことながらいずれ返済せねばなりません。返済するということは「お金を支払う」ことになりますので、事業上の「経費」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。

では、一体なぜ借入金の返済(元金)は経費とならないのでしょうか?

分かりやすく解説してまいりますので、ぜひ最後までお付き合いください。

目次

売上と借入金

借入金と売り上げ

冒頭お伝えした通り借入金の返済(元金)は経費とはなりません。
それはなぜなのでしょうか? 上の図をご覧ください。

A社・B社のいずれも1000万円というお金が通帳に入金されましたが、A社は借入金。B社は売上金になりますので、A社に入金された1000万円は課税対象ではありません。反対にB社の1000万円は課税対象となりますので、売上の1000万円から人件費や仕入れ等の経費が何も発生しなかった場合、1000万円の売り上げ(この場合は利益)に課税されます。

したがって、借りた時に税金が発生していない以上、返すときに経費とはなりません。通帳の残高は増えますが、借入金は収入ではなく負債となるのです。実際に記帳すると下記のような仕訳となります。

A社:普通預金10,000,000円/長期借入金10,000,000円

B社:普通預金10,000,000円/売上高10,000,000円

A社のケースで借入時に保証料や印紙代等が天引きで入金された場合は、左側の借方に天引きされた項目をそれぞれ記入する必要があります。

利息の支払いは経費になる

お得?損?

経費にならない借入金の返済(元金)も利息の支払いだけは経費となります。
なぜ、利息の支払いが経費になるのかは、1000万円というお金を用意するために発生した費用と思っていただければわかりやすいかと思います。
返済がスタートし毎月返済分が通帳から引き落とされますが、仮に1000万円を3%の金利で10年の期間、元利均等返済で借り入れた場合初月の返済は下記のように仕訳を行います。

長期借入金 71,560円/普通預金 71,560円
支払利息  25,000円/普通預金 25,000円

返済金額は今回の例の場合96,560円となりますが、元金と利息はそれぞれ負債と経費ですので分けて記帳する必要があります。

税金払うくらいなら借金返したい

税金と借入金

おそらくほとんどの経営者がこう思うことでしょう。しかし、借入金の返済(元金)は経費と認められませんので、単年度で儲けが出た場合でも節税対策だと誤った考えから元金を返済してしまうと納税資金が足りなくなるという事態にもなりかねません。

先の例をもう一度取り上げると、1000万円の借金も返済を頑張り残高は約800万円になりました。仮に今期の税引き前利益が1000万円出た場合、「利益も出たし借金全部返そう」と思い残債をすべて返済してしまった場合、納税資金は不足します。

仮に実効税率30%として計算した場合、1000万円×30%=300万円が納税額となり、返済した800万円と納税する300万円を合わせて1100万円となりますので、儲けの1000万円に足りない100万円は現預金から支出するほかありません。

せっかく出た儲けも誤った知識から借入金の返済に使ってしまうと、節税対策にはならず却って資金不足に陥りかねません。
この場合、税引き後の利益から元金を返済する分には資金不足とはなりませんが、低金利で借りられる現代において、必ずしも返済した場合のみが得するというケースばかりではありませんので、個別にご相談されたい場合はお問い合わせください。

今回のまとめ

まとめ

借入金の返済は経費とはなりません。
もし、一括での返済を検討する場合は納税資金と今後の経営状況を見越して行いましょう。

税金を多く払いたいという方は少ないと思いますが、今回取り上げたケースのようにご自身で効果的な節税対策と思って行ったとしても、逆に会社や経営者にとってマイナスになることは多くありますのでご注意頂ければと思います。
もっともそのために私をはじめとした会計士・税理士がおりますので、会計上の処理で迷われた場合は何なりとご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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